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株式会社エヴォリューション

JAXA産業連関シンポジウム2010

3月24日に上記のシンポジウムに行ってきました。結構大きなホールにぎっしり。
二つのプレゼンテーションのあとにパネルディスカッションがあり、つぎのような立場の人達がパネラーでした。
内閣府・宇宙開発戦略本部事務局 内閣参事官、政策研究大学院大学 准教授、三菱重工業㈱ 航空宇宙事業本部宇宙機器部長、日本電気㈱ 航空宇宙・防衛事業本部 副事業本部長、三菱電機㈱ 電子システム事業本部宇宙システム事業部長、スカパーJSAT㈱ 衛星事業本部 宇宙ビジネス推進部長、㈱パスコ 衛星事業部 取締役事業部長、JAXA 理事
最初の方で日本の宇宙産業を天気に例えるとどうだと言う趣向があり、やや天候が崩れ始めている的な見方が多く述べられていました。
昨年は、超党派で宇宙基本法が策定され、宇宙産業を国家戦略のなかに位置づける方向性が示されました。また月周回衛星「かぐや」の成果、そして国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の完成、新型のH-ⅡBロケットの打ち上げとそのロケットで打ち上げられたHTV(国際宇宙ステーション補給機)の成功などがあり、明るい話題が多のですが、その後どうも先行きに不透明感がただよっているようです。
なるほどとおもったのが、去年の明るい話題の多くが十数年以上かけたプロジェクトの到達点であったということです。成果は上がった、では次はなにをやる・・・・というあたりが、不透明のよう。
また、アメリカが「コンステレーション計画」(友人月探査計画)を凍結し、ロケットの基礎研究をやりなおして、低価格化や民営化の方向に舵を切ったのも強力なライバルの出現ということになるとみんな見ています。
宇宙産業のダウンサイジングという方向もあって、たとえばリモートセンシング技術による地球観測は新興国の森林資源の監視といったニーズもあり、安く早くやるためには、小さな人工衛星をたくさんばらまきクラスターとして運用するが考えられています。しかし、衛星から降りてくる情報を取得するための世界に展開された地上局のようなインフラが日本の場合あまり整っていません。これまで研究開発がリードしてきた日本の宇宙産業を世界市場や新興国市場の顧客オリエンティッドにするには相当な努力が必要であることがわかりました。
残された時間はあまりないという悲壮な言葉さえでてきましたが、日本にはアセットはちゃんとあるのだから、官民うまくかみあい、例えば東アジアや新興国に宇宙外交をしかければ隘路かもしれないが未来はある、という大筋そういう結論となりました。

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クラウドどスマート・グリッド

googleやamazonのビジネスモデルは大量のサーバーと回線を必要しました。そのうちサーバーの仮想化技術が登場して巨大なデータセン ターが出現。さらにサーバーを動かし、冷房する巨大な電力が必要になりました。巨大データセンターにはコンテナの中にブレード・サー バーが刺さったラックを押し込んだものがいくつも並んでいるそうです。
そしてこのインフラがサーバー能力そのものを提供するサービスを可能にしました。これは初期のインター ネットの「自律分散」型システムとは異なっています。インターネットがこういう流れになってきたのは電力の供給システム発達の歴史と類似性があると「クラウド化する世界」ニコラス・G・カー著はいいます。
電気をエネルギーとして使うようになってきた20世紀初頭にはそれぞれの工場に発電施設が併設されていたそうです。やがてエネルギー供給に特化した発電所がうまれ、送電ネットワークでエネルギーを供給するようになりました。コンセントにつなげば電力が得られるというかたちで電気はユーティリティー化したのです。
いま、回線の大容量化とクラウド化により、コンピュータ・パワーはユーティリティー化していると著者は指摘します。企業ごとにサーバーを持っていると言うことは工場ごとに発電設備を持っていた時代に対応します。発電所がうまれたようにクラウドが生まれたです。

しかし皮肉なことにアメリカで生まれた電力のネットワークはもはや古びています。アメリカで大規模停電がしばしば起こるのは大規模発電所と送電ネットワークをつぎはぎでつくってきたことの結果なのです。カスケード故障とよばれますが、これはいろんな種類のネットワークに起こる現象です。
そこで登場しているのがスマートグリッド構想です。
これまでの送電ネットワークには電力需要と供給力をマッチさせる市場のようなメカニズムがありませんでした。電力の調整は供給が行う仕組みになっている供給サイドのネットワークであり、需要サイドからのフィードバックがありません。それでたびたび需給関係のミスマッチがおこり大規模停電が発生します。
スマートグリッド構想では末端の需要者からのフィードバックを組み込むことが考えられています。しかし、それだけではありません。「スマート」になることにより小規模の、 たとえば家庭の太陽光発電や地域の風力発電も供給ネットワークに組み込めます。スマートグリッドは生命の代謝メカニズムの特徴であるホメオシタシスに近づい ています。
クラウド化の方向とスマートグリッド化の方向はベクトルとして逆になっています。しかし、両方の動きにgoogleが関与しているることは興味深い。

日本の電力ネットワークはアメリカよりも新しく発達してきたので各電力会社が供給量を緻密にコントロールしています。そのため、当初スマートグリッド構想には消極的であったようです。
しかし、地産地消エネルギーを組み込んだ未来のエネルギーネットワークにはスマートグリッド構想が必要だという判断に達したようで、先日の鳩山総理とオバマ大統領の会談でも、日米が協力してスマートグリッドの標準化を行うことに合意したそうです。

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カーシェアリング、電気自動車、リチウムイオン電池など

先日街角でティッシュを受け取ったら、なんとカーシェアリングのチラシでした。TIME24というあちこちの遊休地に駐車場を作っている会社がありますが、そこがカーシェアリングをはじめたらしい。いいアイデアだなとおもいます。
すでにオリックスなどがスタートさせているカーシェアリングですが、カーシェアリングの用途は主に街乗り用なので将来は電気自動車中心になるのでしょう。駐車場で充電させておいて、使い終わったらまた駐車場に戻しコンセントにつないでおけばいいというわけです。
長距離移動は飛行機か鉄道。行った先では電気自動車のカーシェアリング、という社会がくるのではないでしょうか。

ところで三菱自動車が発売した電気自動車はおよそ400万円。その半分が電池代だそうです。素人考えだと電池を着脱式にしておいて、自動車本体を200万円にする。電池はそのつど充電済みのものをガススタンドみたいなところで電気代だけ払って借りればいいのではないかと思っていました。
先日NHKのビジョンeという番組でも同じような疑問が出ていました。ところが独立行政法人NEDO蓄電技術開発室長 弓取修二氏の言うところによると、電気自動車における電池とはエンジンそのものなのだそうです。てっきり電池はガソリンタンクでモーターがエンジンだと思っていたのですが、モーターは電気エネルギーを回転エネルギーに変える装置にすぎないということだそうです。自動車がガソリンエンジンを着脱しないのと同じように電気自動車は電池を着脱しないのです。

しかし着脱型電池は不可能ではないようです。電池が標準化されるとそれは可能になります。しかし、ガソリンエンジンの比喩で言えばエンジン性能の差が車の価値の差になるように、現在はより能力が高くコストの安い電池の開発にしのぎを削っている段階なので、電池の優劣が性能を決めます。ですから当分、標準化が課題になってこないのだそうです。

また、これから太陽光発電が普及したら、日中に発電した電力は夜間のために電池にためる必要があります。これにもリチウムイオン電池が活躍すると見込まれています。

これからの自動車はプラグイン・ハイブリッドカー、EV、燃料電池車などいろんな方法がしのぎをけずり、進化的なプロセスが起こりそうです。

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紅葉と日本の森

紅葉が美しい季節になりました。

落葉樹は日照時間が減り、周りの温度が下がると、紅葉し、そして葉っぱが散っていまいます。葉っぱは葉緑体を使ってエネルギー生産します。しかし、植物は光合 成だけで生きているわけではありません。日が当たらない夜間は昼間、光合成でためた栄養を酸素呼吸で分解して(そのときに二酸化炭素をだす)エネルギーにしている のです。
葉っぱを維持するのにも一定のエネルギー消費が伴います。だから葉っぱが生産するエネルギーが、消費するエネルギーを下回ったら葉っぱを維持する必然性がありません。それで落葉するのです。
不況になったら派遣が企業を解雇されるのと同じ理屈です。自然は美しいけど厳しいなあ。

日本列島には本来三種類の森があります。南から照葉樹林、広葉樹林、針葉樹林です。
照葉樹林は一年中葉っぱが緑。日照時間と温度が高いためです。
植生も多様で、さまざまな種類の植物が生態系を作っています。
昔は西日本に照葉樹林が広がっていましたが、戦後の復興需要をあてにした杉の植林でほとんど無くなってしまいました。世界遺産の熊野古道も周りは杉の木だらけです。東京近辺だと伊豆半島に所々照葉樹の森が見かけられます。
広葉樹林を代表するのは世界遺産の白神山系。ブナを中心とした落葉樹が森を作っており、秋になると美しく紅葉します。そして木々の根元には何年も かけて積み重なった落ち葉が厚い層を作っています。実はこの落ち葉の層が樹木の栄養源になり、また水分の保全に役に立っているのです。経済用語を使うとストックの ある生態系です。

北海道に広がる杉やヒノキは針葉樹の森。針葉樹は一年中葉がついているがそのかわり受光面積が非常にちいさい葉っぱです。
針葉樹は進化的にいうと照葉樹や落葉樹に比べて古い植物です。花を咲かせる他の植物は昆虫に蜜というインセンティブを与えて、花粉を運ばます。(花と昆虫の共進化)ところが針葉樹は花粉をめしべに運ぶために風を使う風媒花。だから杉がふえた近年、花粉症という病気がはやっています。
水の近くで進化した植物が、生殖に風を使うことで内陸部まで生存範囲を広げました。
針葉樹が寒冷地に追いやられたのは、後から進化した照葉樹や落葉樹に生活圏を奪われたからでしょう。アラスカなどのもっと寒いところに行くと樹木の大きさがどんどん小さくります。

ところで、労働市場であぶれた人たちを日本の森の再生を担当する人として雇用しようという提言が時々見られます。
前述したように日本の森は戦後の復興需要を見込んだ植林のせいでかなりの部分が針葉樹になってしまいました。
現在この人口針葉樹の森は林業従事者の高齢化などにともない、間伐などの手入れがされていません。で、やせ細った杉ばかりの森になりつつあります。なぜ日本 の林業が産業としてだめになったかというと、アジアなどからの安い木材の輸入のおかげで競争力を無くしてしまったからです。
では労働力を投じて森の手入れをすれば競争力が取り戻せるのか?木材需要が回復するのか?
この辺の答えがよく見えません。

だれか答えを持っている人がいたら教えてほしいとおもいます。

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軌道上太陽光発電所(Space Solar Power System)

前回のエントリーで触れた宇宙基本法にも記述されているのですが、日本は静止軌道上にある衛星で発電して地球に送る軌道上太陽光発電所をつくる計画を進めています。この利点は、天気や夜に左右されず365日発電できることです。現在の計画では2030年頃、原子力発電所一つ分ほどの100万キロワットほどの発電をめざしています。
日本経済新聞の6月28日にJAXAと経産省が発電衛星から地上に送電する仕組みの開発に取り組むとの記事が掲載されました。ちゃんと予算が付いたようで経産省は「太陽光発電無線送受電技術の研究開発」として委託研究先の公募を7月に行っていました。

送電システムとしてはマイクロ波とレーザーの二つが考えられているようです。マイクロ波は、80年代このアイデアがアメリカで生まれたときからの方法です。マイクロ波は周波数が低いので雲や雨に影響されません。その代わり設備が大きくなります。こちらは太陽電池で発電します。衛星の集光用の鏡は直径3500メートルほどものが二つ必要です。電波が拡散するので地上の受信システムでも2000m四方ほどの施設が必要となります。
レーザー送電は新しく出てきたアイデアでいわゆる太陽電池パネルではなく、太陽光から直接レーザーを発生します。
そして地上で受信したレーザーを電気に変換します。
レーザーは雲や雨に妨げられる欠点がありますが、発電した電気で水を電気分解をして、電気エネルギーを水素に変え、発電の不安定さを一定の範囲内に収めるという構想です。
最近JAXAが研究委託していたレーザー技術総合研究所大阪大学レーザーエネルギー学研究センターがレーザー方式の発電効率を42%までのばしたと言うことです。
わたし(S)が個人的に心配するのは、マイクロウエイブによる電送ですね。これって電子レンジと同じことなので、マイクロウエイブが降り注ぐ一体は結構危険なことになのではないでしょうか。受電装置を作るのは海上の上に設置するしかないでしょう。電波が拡散するので通過する鳥などが焼き鳥になる可能性もあるのではないでしょうか。
レーザーの方は高エネルギーが運べるし、ビームの絞り込みも出来るので、受光装置も小さくてすみそうです。安全面ではマイクロ波よりはましなような気がしますが、天気に弱い。ですので、レーザー光を使って水を分解して、水素にするという構想です。水素は燃料電池として使えますが、極低温でないと液体化しないなどの、取り扱いの難しい物質です。しかし、一種の電池のようにポテンシャル・エネルギーの保存媒体として使えます。これはこれで技術的ブレークスルーが必要ですが。
基本的には通信衛星で地上と電波のやりとりをする技術の延長上にある計画だと思うので不可能ではないと思います。
あと、巨大な資材をどうやって打ち上げるのかという課題も残る。今はHTVの打ち上げにしか使っていない大型ロケットH2−Bが役に立つのではないでしょうか。
こういった技術的問題と別に気になる点があります。地球というシステムは太陽から地上に光が降り注ぎ、熱となって宇宙に帰って行く安定したエネルギー収支になっています。ところが、軌道上太陽熱発電所は地球の外から本来地球に入ってこないエネルギーを運んでくる。これは、石炭や石油のように地中にあった過去の太陽エネルギーを取り出して消費していることと変わらないのではないか?確かにCO2は出ないが・・・・地球は複雑系システムです。カオスがたくさん仕込まれている。カオスは小さな初期の揺らぎが大きな揺らぎに拡大する性質を持っています。
ここら辺は慎重にならざるを得ないのではないでしょうか(S)

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宇宙産業失地回復(週間エコノミスト 11月10日号)

週間エコノミストが日本の宇宙産業について、12ページの特集を掲載しました。おそらくH-ⅡBロケットを使ったHTV(H-Ⅱ Trancefer Vechcle)の成功を受けての記事だと思われます。この号が編集されていたときはまだHTVの自動ランデブーシステムが米国に採用されるニュースは入ってなかったようです。
記事の筆者は中野不二雄(「宙の会」代表幹事・科学ジャーナリスト)鈴木一人(北海道大学公共政策大学院准教授)羽生哲哉(三菱総研・科学・安全政策研究本部 宇宙情報グループ主任研究員)日本航空宇宙工業会といった面々です。
内容的には日本の現在の宇宙産業はチャンスとピンチのちょうど間にいると言うことです。
宇宙戦略本部による「宇宙基本計画」によると、(比較年度がないのですが)「売り上げで40%、従業員規模で30%近く減少している」とあります。ほとんど官需しか無い現状があったわけです。しかし、H-ⅡBロケットとHTVの成功は世界的に見ても非常にレベルが高い。国際宇宙ステーション計画に参加したことが日本の宇宙産業のブランド力をあげているわけです。これをチャンスととらえなければならない。

昨年自民党政権のもと、超党派で宇宙基本法が策定されました。それまで文科省主導で進めていた宇宙開発を省庁横断にして総理大臣が本部長、現在の宇宙開発担当大臣は前原誠司氏です。
簡単には民主導では進まない産業なので、国の関与は必要でしょう。
この体制で日本の宇宙産業が拡大してゆくことを期待します。将来的には民営ロケットで人間がさくっと軌道上にゆく程度にはなってほしいですね。(S)

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国際宇宙ステーションでの生命実験

ISSにおいて行われている生命科学系の実験もいろいろと数を重ねてきました。東京大学浅島誠教授のツメガエルの腎臓細胞の培養はすでに終了し、実験試料も若田さんが持ち帰えりました。現在分析の最中でしょう。
シロイイズナを宇宙で種から育てる実験は、一サイクルおわって、茎や葉がしゅうかくされました。宇宙で成長した個体が実をつけるところまで実験がおこなわれます。11月からは東北大学 東谷篤志教授の線虫という動物を使った実験が始まります。アフリカツメガエルやシロイイズナ、線虫はモデル生物といって、世界中の研究者が研究材料に使っている生物です。ですからこれらの生物を使った実験の成果は世界中の研究者と共有されることになります。

ところで、「きぼう」での実験計画が策定されて、20年がたちました。この間に生命科学は飛躍的な進歩を遂げました。
2003年にはDNAシーケンサーという装置を用いて、アメリカのベンチャー企業が人間の遺伝子の全ゲノムを調べました。それ以降の時代は「ポスト・ゲノム」時代と呼ばれています。DNAシーケンサーも並列化され、DNAマイクロアレイという名前で呼ばれています。この名前で検索すると、分析を請け負ういろんな会社が出てきます。
浅島先生の実験資料は、20年前には無かったDNAマイクロアレイを使って、一つ一つの遺伝子レベルまで、しらみつぶしに調べられます。

また、東谷先生の線虫の実験では2006年にノーベル生理学賞・医学賞を受賞した「RNA干渉」と言うことが研究の柱になるようです。
セントラル・ドグマの時代にはRNAはDNAの情報を写し取ってタンパク質をつくる役割だと考えられていましたが、いろんなRNAが関与してむしろタンパク質の生成をおさえる場合があるそうです。生命には遺伝情報の発現を抑えるメカニズムも組み込まれているらしいのです。

ポストゲノム時代の生命現象を調べる宇宙実験。どういう成果が出てくるのか楽しみです。(S)

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米国の宇宙企業がHTV制御技術を採用

HTVは10月31日に国際宇宙ステーションを離脱し、11月2日には大気圏に突入し消滅します。
HTVがISSにランデブーするプロセスは、完全自動で制御されています。これを開発した三菱電機の技術がアメリカのオービタル・サイエンス社に採用されることになりました。(2009年10月22日発表)
オービタル・サイエンス社はロッキード・マーティンとともに次期有人輸送システムの「オリオン」を開発しています。
シャトルの退役後、「オリオン」が運用されるまで「シグナス」という輸送システムが運用されますが、そのランデブーシステムにHTVの技術が採用されました。
HTVの自動ランデブーシステムは「きぼう」日本実験棟に搭載されている「近傍通信システム」を利用します。「シグナス」もそれを利用します。これにより運用コストが大幅に下がります。

人工衛星製造を提供している企業は、姿勢制御、太陽光発電などの共通部分と、目的に応じた装置を積むためのミッション部分を分け、共通部分のコストをさげるとか、共通のスケルトンを使う等の努力をしています。日本の新しい産業として発展してほしいと思います。

ちなみにHTVに採用された太陽電池パネルはシャープの製品で、変換効率30%を達成しています。このパネルは現在オーストラリアで行われているソーラーカー・レースで一位を走っている東海大学のチームに提供されています。
さらに35.8%という効率を達成したというリリースも出ています。(S)

追記:ソーラーカー・レースでは東海大学チームが一位となりました。

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私たちは何かを予見できるのか?「ブラック・スワン」(タレブ・ナジブ)「経済物理学の発見」(高梨秀樹)

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「ブラック・スワン」は06年に出版され、08年の金融危機を「予想」したとして、その年のアメリカのアマゾンで売り上げ1位になった本です。今年6月に日本語に翻訳されました。
著者のタレブ・ナジブはトレーダー兼「不確実性(Uncertainty)」の研究者です。博識で、かつシニカル。酔っぱらって演説しているような語りぐちはかなり魅力的。出版がダイヤモンド社であることもあって、てっきり金融のテクニカルな話だと思っていましたが、意外や意外、科学的認識批判論であり、ある意味人生論でもありました。ベストセラーになったわけです。
著者はこんにちの経済認識や金融論の基礎になっている統計学の考え方「標準偏差」に疑問を投げかるどころか激しく攻撃します。標準偏差とはベル型カーブで描かれる統計的データの分布です。たとえば人間の身長をデータでとると、だいたい2メートルから1メートルのあいだに収まります。そしてもっとも多いのが150センチから180センチのあいだぐらいに山がくるベル型のカーブに収まります。
金融におけるリスクはだいたいこのようなベル型の分布に収まると考えて作られているのが、金融工学です。
ちなみに金融におけるリスクとは変動性リスク(Volatility Risk)、流動性リスク(Liquidity RisK)、インフレ・リスクなどがあります。変動性リスクとは金融商品がこの先どういう値動きをするかというリスクです。変動性が激しければ激しいほど高い利益も得られるし、損をする額もでかいわけですね。流動性リスクとは、すぐに換金できるかどうかと言うことです。

金融工学には、そういったリスクがだいたいベル型カーブのなかに収まっているであろうという前提があるわけです。
タレブはそういった想定が事実であったためしはないと歴史や哲学、科学を引いて声を大に主張します。
そして宇宙中でもっとも複雑なシステムである人間の経済活動は厳密にコントロール可能なものではなく、かならず不確実性を含むのだと主張します。これが「黒い白鳥」(1羽でも黒い個体がいたら白鳥という定義が崩れる)というタイトルのゆえんです。
そして2007年から2008年にかけて、ベル型カーブの裾にあたる、理論的には何十億年に一回の確率でしか起こらないようなことが起こってしまいました。だから、こういう認識はまちがいなのでは・・・・・。
タレブはその深い教養でいろんなエピソードを交えて、ニュートンの運動方程式による古典力学的世界観が経済学を覆っていることを指摘します。たとえばVolatilityとかLiquidityという概念は流体力学に似ています。しかし、それはアインシュタインの相対性理論による古典力学の一般化、タレブが唯一尊敬できる「経済学者」であるというマンデルブロなどが切り開いた複雑系の科学の認識などがその限界を指摘しているというのです。
内容を単純化すれば以上ですが、この本は実に含蓄に富んでいて読んでいて飽きません。

経済の複雑さに取り組み、タレブと立場を(やや)同じくする経済物理学という分野があります。この分野はタレブも「ブラック・スワン」の中で言及していますが、2004年にこの分野の日本における第一人者高梨秀樹氏が「経済物理学の発見」という本を出版しています。これがなかなかおもしろい。
著者はフラクタル理論など「複雑系の科学」の日本の第一人者の一人です。科学者としてのキャリアの最初は地球科学の分野で、地震の予測などをやっていました。このことからわかるように線形的な現象ではなく、突発的な現象が起こる非線形科学を統計物理学的に処理することを専門としています。その手法が適応できるのではないかと言うことで、高騰や暴落という予測できない(タレブの言葉を借りると「不確実」)ことが起きる経済現象を研究テーマに選んだのです。
経済物理学は研究対象として、たとえばもっとも理想的な「市場」としての外為市場を選びます。こんにちの外為市場は参加プレーヤに時間差や情報の差が生じない「理想的」な市場です。そしてすべての取引がコンピュータ化されているのでそれらをトレースしてデータ化することが可能です。本書によると円ドル為替取引の場合、一日の為替レートの変動が1万回程度、年間でもその250倍。コンピュータで軽く扱えるデータです。ティック・データと呼ばれるひとつひとつの取引データのすべて解析できるのです。取引時間が8時間として1万回の取引があると、ティック・データの最小時間はおよそ3秒ほど。
こんな方法で分析すると市場は常にふらふら変動しており、また、初期値の微小な変動が大きく結果を変える「カオス」が潜んでいることがわかりました。また、データを縦軸を価格変動の大きさ、横軸を発生の頻度のグラフに落とし込むと、左側5%ほどに極端なピークがあり右にゆくにつれて急激に減少し、低い数値がだらだらとよこにのびてゆく、べき分布といわれるものになるそうです。べき分布はファット・テール、ロング・テール等とも言われ、AMAZONの本の売り上げにもそれがあらわれています。左の方に世界で何億部も売れる「ハリーポッター」があり、急激に売り上げは減少して、右の方には数百部しか売れない本がだらだらと長く続くという現象です。
外為市場のデータに戻るとこの左側のピークを切り捨て、残りの部分をベル型カーブで近似しているということになります。タレブのベル型カーブ批判の主張も同様です。物理学の手法でとりだした現実のデータは金融工学の仮定とあっていないと言うことです。
ただ、ブログなどの「経済物理学の発見」に関する書評をみると、工学系の人には若干評判が悪いようです。工学的には何らかの近似してしまわないと扱うことができないということのようです。だから金融工学も存在価値があるのでしょう。
タレブの古典力学的認識論批判や経済物理学の成果は基礎研究に終わり、工学的な応用は難しいのでしょうか。

「週間ダイアモンド」2009年10/17日号「為替入門」特集に最近の経済物理学の動向が紹介されていました。
東京工業大学工学院総合理工学研究科准教授 高安美佐子氏(高安秀樹氏の奥さんで共同研究者です)の研究成果の紹介です。
その記事によると、経済物理学はシミュレーション科学の方向に向かいつつあるようです。
経験的に知られているように、投機におけるポジションの取り方は、「順張り」と「逆張り」になります。「順張り」は正のフィードバックとして働き、価格の暴騰あるいは暴落としてあらわれる、一方「逆張りは」負のフィードバックとして価格の安定化につながるであろうというのは、何となく想像がつきます。それでは実際の経済活動の中でそれを確かめることができるのか。経済現象の特徴として、それは難しいわけです。そこで、登場するのがコンピュータ上に作られた仮想市場ということになります。
実証研究で集められたデータで、モデルを精密化。そしてその中で「順張り」がどこまで突っ走るとバブル崩壊が起こるのかと言うことをシミュレーションします。その結果を実際の市場にインプットすると、いわゆるアナウンス効果で負のフィードバックを起こせるのではないかと高安美佐子氏は言います。

このように人間の認識は複雑な現象に対しても何らかの手立てを考え出すようです。そしてそういった自己言及的な行為自体が現象をさらに複雑にしてゆきます。それが進化と言うことなのだと、私は納得しています。(S)

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私は、どこにいるんですか?

  • 2009-10-22 (木)
  • SF

会社から帰って夜な夜なネットサーフィンが大好きな、わたしが最近見つけた、youtubeの動画があります。

それは、単純に銀河系の星の大きさを比較したもの。

小さいところから紹介していきますと、

Pluto(冥王星)

Mercury(水星)

Mars(火星)

Venus(金星)

Earth(地球)

Neptune(海王星)

Uranus(天王星)

Saturn(土星)

Jupiter(木星)〜と、こんな感じに徐々に大きくなってきてますが。

Sun(太陽)〜いきなり太陽との比較で、木星くんかなり小さくなってしまいました。

う〜ん、太陽デカぃ!!

しかし、太陽が小さく見えるほど、大きい星がまだまだあるんですね。

Sun(太陽)

Sirius(シリウス)

Pollux(ポルックス)

Arcturus(アルクトゥルス)

Rigel(リゲル)

Aldebaran(アルデバラン)

Betelgeuse(ベテルギウス)

Antares(アンタレス)〜うひゃー、アンタレス大きすぎて太陽が点になってしまいました。

ってことは、地球なんて、、、、って、考えてみると、わたしってなんて小さいんだー!!みたいなね。

浮き世の柵が突然阿呆らしく思えた夜でした。

アンタレスより大きい星がまだまだあるみたいなんですが、キリがないんでこの辺で終了ー!!

(P)

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