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全天X線監視装置MAXI(Monitor of All-sky X-ray Image)

2009年7月に国際宇宙ステーションの「きぼう」日本実験棟に船外実験プラットホームが取り付けられ、「きぼう」は完成しました。そのときに、船外実験プラットホームに取り付けられた観測装置のうちのひとつがMAXIです。
弊社では昨年MAXIを紹介する映像作品を製作しました。
MAXIに触れる前に最近の宇宙観測の動向について紹介します。
宇宙の銀河系や構成など様々な天体は、サブミリ波からガンマ線まで幅広い周波数で電磁波を放出しています。かつての天体望遠鏡による観測はそのうち可視光線だけの周波数での観測でした。
JAXA赤外・サブミリ波天文学研究系教授 中川貴雄氏はそのことを「宇宙はオーケストラのように様々な音域で音楽を奏でているが、私たちはその一部しか聞いていなかった。」という表現をしています。
可視光以外での観測は電波望遠鏡から始まり、現在は電波よりは波長の短い赤外線、紫外線より波長の短いX線などで宇宙を観測しています。
電波による観測により、ビッグバンの名残が発見され、赤外線では、星間雲の向こうに隠れて見えなかった天体や100億光年以上の彼方にある遠い昔の宇宙の姿がわかるようになりました。またX線による観測では短い時間に激しく変化する天体や銀河の姿が明らかになってきました。
X線は地球の大気に遮られて地球に届かないためX線望遠鏡は人工衛星に搭載されています。しかしX線望遠鏡は視野が狭いために、宇宙のどこかでおこっている天体の突然の激しい変化の様子をとらえることができません。MAXIはその問題を解決するために開発されました。
MAXIは視野角160度で宇宙からのX線をスキャンします。国際宇宙ステーションは90分で地球を一周するので90分に一度の割合で全天を探ることができます。最小で90分という時間解像度を持っているわけです。つまり90分に1回以上の時間間隔で激しく変化する天体のリストをつくることができます。
MAXIが作るX線全天図のなかにそういった天体が発見されたらX線天文衛星や可視光線で観測するハッブル宇宙望遠鏡などが、一斉にその天体に向けられます。例えば超新星爆発の場合、爆発の瞬間のエネルギーは非常に強いのでX線が放射されます。そして爆発のエネルギーが衰えてくると可視光線を放射するようになります。つまり、超新星の爆発する瞬間を可視光線で見ることができるのです。
また別の観測もできます。
京都大学 基礎物理学研究所 研究員 早崎公威氏はコンピュータによる数値シミュレーションの手法により、銀河中心部に双子のブラックホールが存在する可能性を示しています。この二つのブラックホールはお互いに引き合って回転していると考えられ、周りに集まっている物質から周期的なX線が放射されていることが予想されています。MAXIの観測によりこの周期に一致するX線源を見つけることができればそれが双子のブラックホールであることになります。
こういった研究は宇宙に何億もある銀河の進化を明らかにすることにつながります。
また、早崎氏は重力波天文学の発展の可能性も指摘しています。
巨大な質量を持つ二つのブラックホールが回転すると強い重力波が発生します。現在、日本にもTAMA300という重力波検出装置がありますが、まだ重力波の検出には成功していません。しかし、双子のブラックホールが見つかれば、観測対象を絞り込むことができ、重力波を検出できるかもしれません。
MAXIは様々な可能性を秘めています。(S)

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