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「自然界の秘められたデザイン」

「自然界の秘められたデザイン」イアン・スチュアート著

「自然界の秘められたデザイン」イアン・スチュアート著

自然の中に隠された数学的秩序について書かれた本は古典的名著ダーシー・トムソン「生物のかたち」をはじめとして数多い。この本は、雪の結晶はなぜ美しく、どれも似たような形をしているのに一つとして同じものは無いのだろうかという素朴な疑問から出発し、最新の観測による宇宙の姿にまで言及する。2001年に書かれた本だから内容も新しい。
キーワードになるのは「対称性」だ。雪の結晶は6方向の鏡面対称性と6回の回転対称性を持っている。また、ムカデの歩行にはたくさんの足の動きが波の移動という周期性としてあらわれる。周期性も平行にずらすと重なるので対称性がある。こういう単純な数学的ルールを自然界に発見し、さらに分岐(カタストロフ)のような非線形的現象を動物の縞模様に見いだしたり、気象のような複雑なシステムにみられるカオスによる形など、そしてついには素粒子論、宇宙論にどんどん踏み込んでいく。
個人的には素粒子論でよく使われる「対称のやぶれ」という言葉の意味が何となくわかったような気がしたのが大きな成果だった。
著者は「対象の破れ」を深海に沈めたピンポン球の例で説明している。球はありとあらゆるところに鏡面対称の軸が引けるし、あらゆる方向に回転対称である。そんな球に均一に水圧をかけるとどうなるのか。そのまま小さくつぶれるのだろうか。実はピンポン球はある方向に押しつぶされてしわになる。そのしわは円対称になる。つまり対称性が一つ減ったのである。
こうして、自然を解読するいろんな数学を旅して、雪の結晶にどうしてどれ一つとして同じものがないのかということに戻ってゆく。
宇宙が設計者もなく自然に美しい形を作ってしまうのがすごい!

おまけ:この本にも結晶成長の話がたくさん出てくるが国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟でも「氷の結晶成長の実験」が行われた。

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