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2009-11

カーシェアリング、電気自動車、リチウムイオン電池など

先日街角でティッシュを受け取ったら、なんとカーシェアリングのチラシでした。TIME24というあちこちの遊休地に駐車場を作っている会社がありますが、そこがカーシェアリングをはじめたらしい。いいアイデアだなとおもいます。
すでにオリックスなどがスタートさせているカーシェアリングですが、カーシェアリングの用途は主に街乗り用なので将来は電気自動車中心になるのでしょう。駐車場で充電させておいて、使い終わったらまた駐車場に戻しコンセントにつないでおけばいいというわけです。
長距離移動は飛行機か鉄道。行った先では電気自動車のカーシェアリング、という社会がくるのではないでしょうか。

ところで三菱自動車が発売した電気自動車はおよそ400万円。その半分が電池代だそうです。素人考えだと電池を着脱式にしておいて、自動車本体を200万円にする。電池はそのつど充電済みのものをガススタンドみたいなところで電気代だけ払って借りればいいのではないかと思っていました。
先日NHKのビジョンeという番組でも同じような疑問が出ていました。ところが独立行政法人NEDO蓄電技術開発室長 弓取修二氏の言うところによると、電気自動車における電池とはエンジンそのものなのだそうです。てっきり電池はガソリンタンクでモーターがエンジンだと思っていたのですが、モーターは電気エネルギーを回転エネルギーに変える装置にすぎないということだそうです。自動車がガソリンエンジンを着脱しないのと同じように電気自動車は電池を着脱しないのです。

しかし着脱型電池は不可能ではないようです。電池が標準化されるとそれは可能になります。しかし、ガソリンエンジンの比喩で言えばエンジン性能の差が車の価値の差になるように、現在はより能力が高くコストの安い電池の開発にしのぎを削っている段階なので、電池の優劣が性能を決めます。ですから当分、標準化が課題になってこないのだそうです。

また、これから太陽光発電が普及したら、日中に発電した電力は夜間のために電池にためる必要があります。これにもリチウムイオン電池が活躍すると見込まれています。

これからの自動車はプラグイン・ハイブリッドカー、EV、燃料電池車などいろんな方法がしのぎをけずり、進化的なプロセスが起こりそうです。

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紅葉と日本の森

紅葉が美しい季節になりました。

落葉樹は日照時間が減り、周りの温度が下がると、紅葉し、そして葉っぱが散っていまいます。葉っぱは葉緑体を使ってエネルギー生産します。しかし、植物は光合 成だけで生きているわけではありません。日が当たらない夜間は昼間、光合成でためた栄養を酸素呼吸で分解して(そのときに二酸化炭素をだす)エネルギーにしている のです。
葉っぱを維持するのにも一定のエネルギー消費が伴います。だから葉っぱが生産するエネルギーが、消費するエネルギーを下回ったら葉っぱを維持する必然性がありません。それで落葉するのです。
不況になったら派遣が企業を解雇されるのと同じ理屈です。自然は美しいけど厳しいなあ。

日本列島には本来三種類の森があります。南から照葉樹林、広葉樹林、針葉樹林です。
照葉樹林は一年中葉っぱが緑。日照時間と温度が高いためです。
植生も多様で、さまざまな種類の植物が生態系を作っています。
昔は西日本に照葉樹林が広がっていましたが、戦後の復興需要をあてにした杉の植林でほとんど無くなってしまいました。世界遺産の熊野古道も周りは杉の木だらけです。東京近辺だと伊豆半島に所々照葉樹の森が見かけられます。
広葉樹林を代表するのは世界遺産の白神山系。ブナを中心とした落葉樹が森を作っており、秋になると美しく紅葉します。そして木々の根元には何年も かけて積み重なった落ち葉が厚い層を作っています。実はこの落ち葉の層が樹木の栄養源になり、また水分の保全に役に立っているのです。経済用語を使うとストックの ある生態系です。

北海道に広がる杉やヒノキは針葉樹の森。針葉樹は一年中葉がついているがそのかわり受光面積が非常にちいさい葉っぱです。
針葉樹は進化的にいうと照葉樹や落葉樹に比べて古い植物です。花を咲かせる他の植物は昆虫に蜜というインセンティブを与えて、花粉を運ばます。(花と昆虫の共進化)ところが針葉樹は花粉をめしべに運ぶために風を使う風媒花。だから杉がふえた近年、花粉症という病気がはやっています。
水の近くで進化した植物が、生殖に風を使うことで内陸部まで生存範囲を広げました。
針葉樹が寒冷地に追いやられたのは、後から進化した照葉樹や落葉樹に生活圏を奪われたからでしょう。アラスカなどのもっと寒いところに行くと樹木の大きさがどんどん小さくります。

ところで、労働市場であぶれた人たちを日本の森の再生を担当する人として雇用しようという提言が時々見られます。
前述したように日本の森は戦後の復興需要を見込んだ植林のせいでかなりの部分が針葉樹になってしまいました。
現在この人口針葉樹の森は林業従事者の高齢化などにともない、間伐などの手入れがされていません。で、やせ細った杉ばかりの森になりつつあります。なぜ日本 の林業が産業としてだめになったかというと、アジアなどからの安い木材の輸入のおかげで競争力を無くしてしまったからです。
では労働力を投じて森の手入れをすれば競争力が取り戻せるのか?木材需要が回復するのか?
この辺の答えがよく見えません。

だれか答えを持っている人がいたら教えてほしいとおもいます。

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軌道上太陽光発電所(Space Solar Power System)

前回のエントリーで触れた宇宙基本法にも記述されているのですが、日本は静止軌道上にある衛星で発電して地球に送る軌道上太陽光発電所をつくる計画を進めています。この利点は、天気や夜に左右されず365日発電できることです。現在の計画では2030年頃、原子力発電所一つ分ほどの100万キロワットほどの発電をめざしています。
日本経済新聞の6月28日にJAXAと経産省が発電衛星から地上に送電する仕組みの開発に取り組むとの記事が掲載されました。ちゃんと予算が付いたようで経産省は「太陽光発電無線送受電技術の研究開発」として委託研究先の公募を7月に行っていました。

送電システムとしてはマイクロ波とレーザーの二つが考えられているようです。マイクロ波は、80年代このアイデアがアメリカで生まれたときからの方法です。マイクロ波は周波数が低いので雲や雨に影響されません。その代わり設備が大きくなります。こちらは太陽電池で発電します。衛星の集光用の鏡は直径3500メートルほどものが二つ必要です。電波が拡散するので地上の受信システムでも2000m四方ほどの施設が必要となります。
レーザー送電は新しく出てきたアイデアでいわゆる太陽電池パネルではなく、太陽光から直接レーザーを発生します。
そして地上で受信したレーザーを電気に変換します。
レーザーは雲や雨に妨げられる欠点がありますが、発電した電気で水を電気分解をして、電気エネルギーを水素に変え、発電の不安定さを一定の範囲内に収めるという構想です。
最近JAXAが研究委託していたレーザー技術総合研究所大阪大学レーザーエネルギー学研究センターがレーザー方式の発電効率を42%までのばしたと言うことです。
わたし(S)が個人的に心配するのは、マイクロウエイブによる電送ですね。これって電子レンジと同じことなので、マイクロウエイブが降り注ぐ一体は結構危険なことになのではないでしょうか。受電装置を作るのは海上の上に設置するしかないでしょう。電波が拡散するので通過する鳥などが焼き鳥になる可能性もあるのではないでしょうか。
レーザーの方は高エネルギーが運べるし、ビームの絞り込みも出来るので、受光装置も小さくてすみそうです。安全面ではマイクロ波よりはましなような気がしますが、天気に弱い。ですので、レーザー光を使って水を分解して、水素にするという構想です。水素は燃料電池として使えますが、極低温でないと液体化しないなどの、取り扱いの難しい物質です。しかし、一種の電池のようにポテンシャル・エネルギーの保存媒体として使えます。これはこれで技術的ブレークスルーが必要ですが。
基本的には通信衛星で地上と電波のやりとりをする技術の延長上にある計画だと思うので不可能ではないと思います。
あと、巨大な資材をどうやって打ち上げるのかという課題も残る。今はHTVの打ち上げにしか使っていない大型ロケットH2−Bが役に立つのではないでしょうか。
こういった技術的問題と別に気になる点があります。地球というシステムは太陽から地上に光が降り注ぎ、熱となって宇宙に帰って行く安定したエネルギー収支になっています。ところが、軌道上太陽熱発電所は地球の外から本来地球に入ってこないエネルギーを運んでくる。これは、石炭や石油のように地中にあった過去の太陽エネルギーを取り出して消費していることと変わらないのではないか?確かにCO2は出ないが・・・・地球は複雑系システムです。カオスがたくさん仕込まれている。カオスは小さな初期の揺らぎが大きな揺らぎに拡大する性質を持っています。
ここら辺は慎重にならざるを得ないのではないでしょうか(S)

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宇宙産業失地回復(週間エコノミスト 11月10日号)

週間エコノミストが日本の宇宙産業について、12ページの特集を掲載しました。おそらくH-ⅡBロケットを使ったHTV(H-Ⅱ Trancefer Vechcle)の成功を受けての記事だと思われます。この号が編集されていたときはまだHTVの自動ランデブーシステムが米国に採用されるニュースは入ってなかったようです。
記事の筆者は中野不二雄(「宙の会」代表幹事・科学ジャーナリスト)鈴木一人(北海道大学公共政策大学院准教授)羽生哲哉(三菱総研・科学・安全政策研究本部 宇宙情報グループ主任研究員)日本航空宇宙工業会といった面々です。
内容的には日本の現在の宇宙産業はチャンスとピンチのちょうど間にいると言うことです。
宇宙戦略本部による「宇宙基本計画」によると、(比較年度がないのですが)「売り上げで40%、従業員規模で30%近く減少している」とあります。ほとんど官需しか無い現状があったわけです。しかし、H-ⅡBロケットとHTVの成功は世界的に見ても非常にレベルが高い。国際宇宙ステーション計画に参加したことが日本の宇宙産業のブランド力をあげているわけです。これをチャンスととらえなければならない。

昨年自民党政権のもと、超党派で宇宙基本法が策定されました。それまで文科省主導で進めていた宇宙開発を省庁横断にして総理大臣が本部長、現在の宇宙開発担当大臣は前原誠司氏です。
簡単には民主導では進まない産業なので、国の関与は必要でしょう。
この体制で日本の宇宙産業が拡大してゆくことを期待します。将来的には民営ロケットで人間がさくっと軌道上にゆく程度にはなってほしいですね。(S)

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国際宇宙ステーションでの生命実験

ISSにおいて行われている生命科学系の実験もいろいろと数を重ねてきました。東京大学浅島誠教授のツメガエルの腎臓細胞の培養はすでに終了し、実験試料も若田さんが持ち帰えりました。現在分析の最中でしょう。
シロイイズナを宇宙で種から育てる実験は、一サイクルおわって、茎や葉がしゅうかくされました。宇宙で成長した個体が実をつけるところまで実験がおこなわれます。11月からは東北大学 東谷篤志教授の線虫という動物を使った実験が始まります。アフリカツメガエルやシロイイズナ、線虫はモデル生物といって、世界中の研究者が研究材料に使っている生物です。ですからこれらの生物を使った実験の成果は世界中の研究者と共有されることになります。

ところで、「きぼう」での実験計画が策定されて、20年がたちました。この間に生命科学は飛躍的な進歩を遂げました。
2003年にはDNAシーケンサーという装置を用いて、アメリカのベンチャー企業が人間の遺伝子の全ゲノムを調べました。それ以降の時代は「ポスト・ゲノム」時代と呼ばれています。DNAシーケンサーも並列化され、DNAマイクロアレイという名前で呼ばれています。この名前で検索すると、分析を請け負ういろんな会社が出てきます。
浅島先生の実験資料は、20年前には無かったDNAマイクロアレイを使って、一つ一つの遺伝子レベルまで、しらみつぶしに調べられます。

また、東谷先生の線虫の実験では2006年にノーベル生理学賞・医学賞を受賞した「RNA干渉」と言うことが研究の柱になるようです。
セントラル・ドグマの時代にはRNAはDNAの情報を写し取ってタンパク質をつくる役割だと考えられていましたが、いろんなRNAが関与してむしろタンパク質の生成をおさえる場合があるそうです。生命には遺伝情報の発現を抑えるメカニズムも組み込まれているらしいのです。

ポストゲノム時代の生命現象を調べる宇宙実験。どういう成果が出てくるのか楽しみです。(S)

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