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生命 Archive

紅葉と日本の森

紅葉が美しい季節になりました。

落葉樹は日照時間が減り、周りの温度が下がると、紅葉し、そして葉っぱが散っていまいます。葉っぱは葉緑体を使ってエネルギー生産します。しかし、植物は光合 成だけで生きているわけではありません。日が当たらない夜間は昼間、光合成でためた栄養を酸素呼吸で分解して(そのときに二酸化炭素をだす)エネルギーにしている のです。
葉っぱを維持するのにも一定のエネルギー消費が伴います。だから葉っぱが生産するエネルギーが、消費するエネルギーを下回ったら葉っぱを維持する必然性がありません。それで落葉するのです。
不況になったら派遣が企業を解雇されるのと同じ理屈です。自然は美しいけど厳しいなあ。

日本列島には本来三種類の森があります。南から照葉樹林、広葉樹林、針葉樹林です。
照葉樹林は一年中葉っぱが緑。日照時間と温度が高いためです。
植生も多様で、さまざまな種類の植物が生態系を作っています。
昔は西日本に照葉樹林が広がっていましたが、戦後の復興需要をあてにした杉の植林でほとんど無くなってしまいました。世界遺産の熊野古道も周りは杉の木だらけです。東京近辺だと伊豆半島に所々照葉樹の森が見かけられます。
広葉樹林を代表するのは世界遺産の白神山系。ブナを中心とした落葉樹が森を作っており、秋になると美しく紅葉します。そして木々の根元には何年も かけて積み重なった落ち葉が厚い層を作っています。実はこの落ち葉の層が樹木の栄養源になり、また水分の保全に役に立っているのです。経済用語を使うとストックの ある生態系です。

北海道に広がる杉やヒノキは針葉樹の森。針葉樹は一年中葉がついているがそのかわり受光面積が非常にちいさい葉っぱです。
針葉樹は進化的にいうと照葉樹や落葉樹に比べて古い植物です。花を咲かせる他の植物は昆虫に蜜というインセンティブを与えて、花粉を運ばます。(花と昆虫の共進化)ところが針葉樹は花粉をめしべに運ぶために風を使う風媒花。だから杉がふえた近年、花粉症という病気がはやっています。
水の近くで進化した植物が、生殖に風を使うことで内陸部まで生存範囲を広げました。
針葉樹が寒冷地に追いやられたのは、後から進化した照葉樹や落葉樹に生活圏を奪われたからでしょう。アラスカなどのもっと寒いところに行くと樹木の大きさがどんどん小さくります。

ところで、労働市場であぶれた人たちを日本の森の再生を担当する人として雇用しようという提言が時々見られます。
前述したように日本の森は戦後の復興需要を見込んだ植林のせいでかなりの部分が針葉樹になってしまいました。
現在この人口針葉樹の森は林業従事者の高齢化などにともない、間伐などの手入れがされていません。で、やせ細った杉ばかりの森になりつつあります。なぜ日本 の林業が産業としてだめになったかというと、アジアなどからの安い木材の輸入のおかげで競争力を無くしてしまったからです。
では労働力を投じて森の手入れをすれば競争力が取り戻せるのか?木材需要が回復するのか?
この辺の答えがよく見えません。

だれか答えを持っている人がいたら教えてほしいとおもいます。

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国際宇宙ステーションでの生命実験

ISSにおいて行われている生命科学系の実験もいろいろと数を重ねてきました。東京大学浅島誠教授のツメガエルの腎臓細胞の培養はすでに終了し、実験試料も若田さんが持ち帰えりました。現在分析の最中でしょう。
シロイイズナを宇宙で種から育てる実験は、一サイクルおわって、茎や葉がしゅうかくされました。宇宙で成長した個体が実をつけるところまで実験がおこなわれます。11月からは東北大学 東谷篤志教授の線虫という動物を使った実験が始まります。アフリカツメガエルやシロイイズナ、線虫はモデル生物といって、世界中の研究者が研究材料に使っている生物です。ですからこれらの生物を使った実験の成果は世界中の研究者と共有されることになります。

ところで、「きぼう」での実験計画が策定されて、20年がたちました。この間に生命科学は飛躍的な進歩を遂げました。
2003年にはDNAシーケンサーという装置を用いて、アメリカのベンチャー企業が人間の遺伝子の全ゲノムを調べました。それ以降の時代は「ポスト・ゲノム」時代と呼ばれています。DNAシーケンサーも並列化され、DNAマイクロアレイという名前で呼ばれています。この名前で検索すると、分析を請け負ういろんな会社が出てきます。
浅島先生の実験資料は、20年前には無かったDNAマイクロアレイを使って、一つ一つの遺伝子レベルまで、しらみつぶしに調べられます。

また、東谷先生の線虫の実験では2006年にノーベル生理学賞・医学賞を受賞した「RNA干渉」と言うことが研究の柱になるようです。
セントラル・ドグマの時代にはRNAはDNAの情報を写し取ってタンパク質をつくる役割だと考えられていましたが、いろんなRNAが関与してむしろタンパク質の生成をおさえる場合があるそうです。生命には遺伝情報の発現を抑えるメカニズムも組み込まれているらしいのです。

ポストゲノム時代の生命現象を調べる宇宙実験。どういう成果が出てくるのか楽しみです。(S)

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私たちは何かを予見できるのか?「ブラック・スワン」(タレブ・ナジブ)「経済物理学の発見」(高梨秀樹)

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「ブラック・スワン」は06年に出版され、08年の金融危機を「予想」したとして、その年のアメリカのアマゾンで売り上げ1位になった本です。今年6月に日本語に翻訳されました。
著者のタレブ・ナジブはトレーダー兼「不確実性(Uncertainty)」の研究者です。博識で、かつシニカル。酔っぱらって演説しているような語りぐちはかなり魅力的。出版がダイヤモンド社であることもあって、てっきり金融のテクニカルな話だと思っていましたが、意外や意外、科学的認識批判論であり、ある意味人生論でもありました。ベストセラーになったわけです。
著者はこんにちの経済認識や金融論の基礎になっている統計学の考え方「標準偏差」に疑問を投げかるどころか激しく攻撃します。標準偏差とはベル型カーブで描かれる統計的データの分布です。たとえば人間の身長をデータでとると、だいたい2メートルから1メートルのあいだに収まります。そしてもっとも多いのが150センチから180センチのあいだぐらいに山がくるベル型のカーブに収まります。
金融におけるリスクはだいたいこのようなベル型の分布に収まると考えて作られているのが、金融工学です。
ちなみに金融におけるリスクとは変動性リスク(Volatility Risk)、流動性リスク(Liquidity RisK)、インフレ・リスクなどがあります。変動性リスクとは金融商品がこの先どういう値動きをするかというリスクです。変動性が激しければ激しいほど高い利益も得られるし、損をする額もでかいわけですね。流動性リスクとは、すぐに換金できるかどうかと言うことです。

金融工学には、そういったリスクがだいたいベル型カーブのなかに収まっているであろうという前提があるわけです。
タレブはそういった想定が事実であったためしはないと歴史や哲学、科学を引いて声を大に主張します。
そして宇宙中でもっとも複雑なシステムである人間の経済活動は厳密にコントロール可能なものではなく、かならず不確実性を含むのだと主張します。これが「黒い白鳥」(1羽でも黒い個体がいたら白鳥という定義が崩れる)というタイトルのゆえんです。
そして2007年から2008年にかけて、ベル型カーブの裾にあたる、理論的には何十億年に一回の確率でしか起こらないようなことが起こってしまいました。だから、こういう認識はまちがいなのでは・・・・・。
タレブはその深い教養でいろんなエピソードを交えて、ニュートンの運動方程式による古典力学的世界観が経済学を覆っていることを指摘します。たとえばVolatilityとかLiquidityという概念は流体力学に似ています。しかし、それはアインシュタインの相対性理論による古典力学の一般化、タレブが唯一尊敬できる「経済学者」であるというマンデルブロなどが切り開いた複雑系の科学の認識などがその限界を指摘しているというのです。
内容を単純化すれば以上ですが、この本は実に含蓄に富んでいて読んでいて飽きません。

経済の複雑さに取り組み、タレブと立場を(やや)同じくする経済物理学という分野があります。この分野はタレブも「ブラック・スワン」の中で言及していますが、2004年にこの分野の日本における第一人者高梨秀樹氏が「経済物理学の発見」という本を出版しています。これがなかなかおもしろい。
著者はフラクタル理論など「複雑系の科学」の日本の第一人者の一人です。科学者としてのキャリアの最初は地球科学の分野で、地震の予測などをやっていました。このことからわかるように線形的な現象ではなく、突発的な現象が起こる非線形科学を統計物理学的に処理することを専門としています。その手法が適応できるのではないかと言うことで、高騰や暴落という予測できない(タレブの言葉を借りると「不確実」)ことが起きる経済現象を研究テーマに選んだのです。
経済物理学は研究対象として、たとえばもっとも理想的な「市場」としての外為市場を選びます。こんにちの外為市場は参加プレーヤに時間差や情報の差が生じない「理想的」な市場です。そしてすべての取引がコンピュータ化されているのでそれらをトレースしてデータ化することが可能です。本書によると円ドル為替取引の場合、一日の為替レートの変動が1万回程度、年間でもその250倍。コンピュータで軽く扱えるデータです。ティック・データと呼ばれるひとつひとつの取引データのすべて解析できるのです。取引時間が8時間として1万回の取引があると、ティック・データの最小時間はおよそ3秒ほど。
こんな方法で分析すると市場は常にふらふら変動しており、また、初期値の微小な変動が大きく結果を変える「カオス」が潜んでいることがわかりました。また、データを縦軸を価格変動の大きさ、横軸を発生の頻度のグラフに落とし込むと、左側5%ほどに極端なピークがあり右にゆくにつれて急激に減少し、低い数値がだらだらとよこにのびてゆく、べき分布といわれるものになるそうです。べき分布はファット・テール、ロング・テール等とも言われ、AMAZONの本の売り上げにもそれがあらわれています。左の方に世界で何億部も売れる「ハリーポッター」があり、急激に売り上げは減少して、右の方には数百部しか売れない本がだらだらと長く続くという現象です。
外為市場のデータに戻るとこの左側のピークを切り捨て、残りの部分をベル型カーブで近似しているということになります。タレブのベル型カーブ批判の主張も同様です。物理学の手法でとりだした現実のデータは金融工学の仮定とあっていないと言うことです。
ただ、ブログなどの「経済物理学の発見」に関する書評をみると、工学系の人には若干評判が悪いようです。工学的には何らかの近似してしまわないと扱うことができないということのようです。だから金融工学も存在価値があるのでしょう。
タレブの古典力学的認識論批判や経済物理学の成果は基礎研究に終わり、工学的な応用は難しいのでしょうか。

「週間ダイアモンド」2009年10/17日号「為替入門」特集に最近の経済物理学の動向が紹介されていました。
東京工業大学工学院総合理工学研究科准教授 高安美佐子氏(高安秀樹氏の奥さんで共同研究者です)の研究成果の紹介です。
その記事によると、経済物理学はシミュレーション科学の方向に向かいつつあるようです。
経験的に知られているように、投機におけるポジションの取り方は、「順張り」と「逆張り」になります。「順張り」は正のフィードバックとして働き、価格の暴騰あるいは暴落としてあらわれる、一方「逆張りは」負のフィードバックとして価格の安定化につながるであろうというのは、何となく想像がつきます。それでは実際の経済活動の中でそれを確かめることができるのか。経済現象の特徴として、それは難しいわけです。そこで、登場するのがコンピュータ上に作られた仮想市場ということになります。
実証研究で集められたデータで、モデルを精密化。そしてその中で「順張り」がどこまで突っ走るとバブル崩壊が起こるのかと言うことをシミュレーションします。その結果を実際の市場にインプットすると、いわゆるアナウンス効果で負のフィードバックを起こせるのではないかと高安美佐子氏は言います。

このように人間の認識は複雑な現象に対しても何らかの手立てを考え出すようです。そしてそういった自己言及的な行為自体が現象をさらに複雑にしてゆきます。それが進化と言うことなのだと、私は納得しています。(S)

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生命への問いかけ

2003年人間の全ゲノムが解析され、現在は「ポスト・ゲノム時代」と言われています。IP細胞やES細胞の研究の最前線もゲノム研究の手法を取り入れることによって、大きく進歩してきました。科学者の生命観も一つの共通の視点に修練しつつあるように思われます。
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「生命」について、一番最初にあるイメージを与えてくれたのは、量子力学の創設者の一人物理学者シュレディンガーの「生命とはなにか」(1944)という古典的名著でした。
宇宙はエントロピー増大に向かっている。しかし、生命はその流れに逆らって「負のエントロピー」を生み出している。そう彼は述べます。エントロピーの増大とはミルクとコーヒーが混ざり合ってミルクコーヒーになるようなことです。しかしミルクコーヒーが時間経過と共にミルクとコーヒーに別れることは決してありません。そのあり得ないことを起こしているのが生命だというのです。
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イリア・ブリゴジン/I.スタンジェール共著の「混沌からの秩序」(1984年)はシュレディンガーが提出した生命観をさらに具体的にしてくれました。イリア・ブリゴジンは1977年にノーベル賞を受賞した化学者・物理学者です。受賞した業績は「非平衡開放系における定常的な構造=散逸構造」の研究でした。
ベルナール対流という現象が流体科学の世界では昔から知られていました。容器の下から均等に熱を加えられたパラフィンのような液体に、熱による対流によってハチの巣のようなパターンが生じます。このパターンは下から熱が加わり、表面から放熱している限り消えることがないのです。こういった現象は決して珍しくありません。エントロピーが増大するエネルギーの勾配に、局所的にエントロピーが減少するシステムがあらわれる。それが生命なのです。
同じ意味で地球というシステムも非平衡開放系の中の散逸構造です。太陽から降り注ぐエネルギーが地球という局所的なシステムにおいて、散逸構造的なパターンを生みだし、ふたたび赤外線に運ばれる熱として、宇宙に放出されてゆく。そのシステムの中にさまざまな生命の食物連鎖をはじめとする生態的関係が姿をあらわします。
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「動的平衡」(2009)は分子生物学者、福岡伸一氏のエッセイ集です。分子生物学の発達の歴史を重て生命観の現在を紹介したベスト・セラー「生物と無生物のあいだ」に比べると、若干散漫な印象がありますが、「動的平衡」という言葉に惹かれてこちらの本を選びました。(物理学業界では「動的平衡」とはいわず、「非平衡開放系における定常状態」といいます。科学でも業界が違うと言葉が違うようです。)
人間はある時間一人の人間であるが、それを構成している物質はとどまることがない。物質的存在としての「私」には何ら一体性はなく、そこにあるのはパターンだけである、という認識がそれぞれのエッセイの中に最新の分子生物学的知見として記されています。

こういった生命観は科学という方法論が達した認識です。でも、たとえば仏教における「縁起」の概念との類似性を感じざるを得ません。
「縁起」とは、「実態」は何もない。あるのは諸要素の関係性(縁起)だけであり、関係性を構成する諸要素も「縁起」で成り立っている。したがって究極のありようとうは「空」であるという考えです(あるいは「究極」をもとめてもそれは無駄である)
また、鴨長明の「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。」という直感は非常に正しい認識であったと思います。(S)

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「自然界の秘められたデザイン」

「自然界の秘められたデザイン」イアン・スチュアート著

「自然界の秘められたデザイン」イアン・スチュアート著

自然の中に隠された数学的秩序について書かれた本は古典的名著ダーシー・トムソン「生物のかたち」をはじめとして数多い。この本は、雪の結晶はなぜ美しく、どれも似たような形をしているのに一つとして同じものは無いのだろうかという素朴な疑問から出発し、最新の観測による宇宙の姿にまで言及する。2001年に書かれた本だから内容も新しい。
キーワードになるのは「対称性」だ。雪の結晶は6方向の鏡面対称性と6回の回転対称性を持っている。また、ムカデの歩行にはたくさんの足の動きが波の移動という周期性としてあらわれる。周期性も平行にずらすと重なるので対称性がある。こういう単純な数学的ルールを自然界に発見し、さらに分岐(カタストロフ)のような非線形的現象を動物の縞模様に見いだしたり、気象のような複雑なシステムにみられるカオスによる形など、そしてついには素粒子論、宇宙論にどんどん踏み込んでいく。
個人的には素粒子論でよく使われる「対称のやぶれ」という言葉の意味が何となくわかったような気がしたのが大きな成果だった。
著者は「対象の破れ」を深海に沈めたピンポン球の例で説明している。球はありとあらゆるところに鏡面対称の軸が引けるし、あらゆる方向に回転対称である。そんな球に均一に水圧をかけるとどうなるのか。そのまま小さくつぶれるのだろうか。実はピンポン球はある方向に押しつぶされてしわになる。そのしわは円対称になる。つまり対称性が一つ減ったのである。
こうして、自然を解読するいろんな数学を旅して、雪の結晶にどうしてどれ一つとして同じものがないのかということに戻ってゆく。
宇宙が設計者もなく自然に美しい形を作ってしまうのがすごい!

おまけ:この本にも結晶成長の話がたくさん出てくるが国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟でも「氷の結晶成長の実験」が行われた。

国際宇宙ステーションでの宇宙実験と社会との接点

2009年4月26日に行われた、JAXA主催の「国際宇宙ステーション利用の成果 国際シンポジウム~これまでの成果とこれからの期待~」に行ってきました。
「きぼう」日本実験棟建設のその先のテーマはこれだな、ということで。
このシンポジウムにロシア、アメリカ、欧州、カナダ、日本という国際宇宙ステーションに関係するすべての国の研究者が参加しているのが興味深かったです。
もっともおもしろいとおもったのは、(財)大阪バイオサイエンス研究所の分子行動生物学部門・研究部長、裏出良博氏の「宇宙実験に基づく医薬品開発」という発表でした。
脳を眠らせるプロスタグラジンD2という物質を研究。その物質をつくる酵素の分子構造を解明してゆく過程で、宇宙実験と、高エネルギーX線回折による分子 構造の解明というビッグ・サイエンスによる新しい研究方法の登場。きれいな形の結晶を宇宙でつくり、波長の短いX線を用いてタンパク質の高解像度の立体構 造のデータを得る。
水素原子ひとつひとつまでわかるレベルになっているそうです。
プロスタグラジンにはもうひとつのタイプがあって筋ジストロフィーはそのタイプが関係しているということ。プロスタグラジンの働きを抑える阻害剤を作るこ とができれば、不治の病であった筋ジストロフィーの治療薬ができる。その研究は、すでに臨床実験を待つまでになっているということでした。
宇宙の微小重力環境を利用した実験とわたしたちの生活の接点を端的に示しているよい例だと思いました。(S)

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